ironaki kaze
-色なき風-
贈り主のMさんから、大切な友人であるYさんへ、ギフトを贈りたいとご依頼いただきました。特に誕生日や節目のタイミングのプレゼントではなく、きっかけは一緒に出かけた旅先でYさんに貰った一枚の写真だそうです。何気ない一枚だからこそ、撮影者であるYさんとの自然体でいられる関係性が感じられ、その存在への感謝が込み上げてくる写真だとMさんが話してくださいました。
-今回花束を贈ろうと思ったきっかけは何ですか?
友人と日帰りの旅行に出かけました。その時に撮ってもらった写真がきっかけですね。
写真自体がすごく素敵で、同じ時間を共有しなかったら生まれなかった写真。
一緒に旅行に行ったことを思い出せる瞬間を形に残してくれたことが嬉しかったです。
写真からも彼女の人柄が透けて見えていて。
綺麗に撮らなきゃと頑張っている感じがないというか。
ただ彼女自身も一緒にその時間を楽しんでくれていると感じたから、そのお礼がしたくて
今回お花を依頼しました。
-お礼がしたい?
そう、お礼というか‥。
私は、人からよく思われたい、必要とされたいという気持ちが強いと思います。ものを贈る時も、その気持ちが無意識に働き、良いと思われるもの、実用性のあるものを選びがちかも。でも今回はそうじゃなくて、彼女がそうしたように、気持ちの見返りがないところで贈り物をしたかったんです。
-そうだったんですね。贈りたい人はどんな方ですか?
いつも遊んでいて楽しいし、尊敬できる人。
趣味がきっかけで大人になってから出会った人です。
とにかく優しいし、自然に気遣いできる人。
自分から見て素敵だなと思えることがいっぱいですね。
それから、良いよねと思えることを共感できることが嬉しくて。
私の地元に夫婦で旅行に行ってくれたことも嬉しかったな。
これっていう大きな出来事があったわけではないけど、ただそばにいてくれている、
それだけで全然違う心持ちになるというか。
人に気を遣いすぎる自分だけど、彼女は安心感の塊みたいな人なんです。
だから、私はいつもYさんに支えらえている感じがします。
また、精神的にだめになりそうな時でも、自分で解決策を考えられるようになりました。
それは、Yさんにもなるべく落ち込んでいるところを見せたくないから。
彼女と出会う前とでは、自分は全然違うと思います。
-出会う前と後で、ご自身はどう違いましたか?
出会う前の私は、小さい頃から、他人に置いてかれる恐怖感を感じることがあって。
誰も待ってくれない感覚だったけど、彼女は違って、待ってくれる存在。
待ってくれて、助けてくれたりする。
私が気にしすぎることも、ユーモアで返してくれるような優しさもあります。
彼女からは常に明るさを感じて、且つエネルギーに満ち溢れている。
人を大切にするからこそ人から大切にされてきたんだろうなっていう感じがするんです。
そんなYさんとの心地良さの中で、私もたくさん大事なことを気づかされました。
親しき中にも礼儀ありというか。無理な気遣いとか尊重したりとかではないのですが、
適切な距離感は大切にしなければということを学びました。
以前の自分は近ければ、近い程良いと思っていた。踏み込みすぎたり、失礼なことをしてしまったなと思うこともある気がします。
でもYさんと出会って意識が少し変わりました。
今は、もっと早く出会えてたらなと思います。
-改めて今回はどんな意味が込められた贈り物ですか?
何度も言ってしまいますが、私から見たらすごく尊敬する人。
私も、喜ばれるものを贈りたい。だったら私が幸せじゃないといけないかなと。
人の目を気にして無理をすることが多い私なのですが、以前彼女は「ありのままのMちゃんで充分素敵だから、そのままで」という暖かい言葉をかけてくれました。
それを改めてこの写真から感じました。
未だにいつもありのままでいるのは難しく、疲れてしまう事も多いのだけれど、
見栄を張らない、無理のない贈り物をすることで彼女に喜んでもらいたいのはもちろんですが、自分の為にも意味のあることをしたかったのだと思います。
-花束のイメージはありますか?
ナチュラルな花束が良いかな。
あまり大きくなくて良い。
ぎゅっと詰まった感のある花束が良いです。
上品で優しい。でも元気な花束を。
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「色なき風」
色なき風とは中国の五行思想の中で「しろ」を「秋」と呼んだ事からついた風の名前です。これまで丁寧に時間を積み重ねてきた2人。
時間をかけて、お互いの信頼関係を作ってきたからこそ、華やかさで見栄を張ったり、どう見られるかを飛び越えた心からの贈り物ができると感じました。誰しもそういう特別な人は近くにいるということを気付かされるエピソードでした。花束は旅先で咲いていた秋明菊をメインに。柔らかい質感の白い花材ばかりを集めました。全てを受け止めてくれる「色なき風」の花束を大切な人に贈ってほしいと思います。